「IFS(内的家族システム療法):実践編」~「内的対話」と「パーツ」~
- clinical-psycholog2
- 2025年11月23日
- 読了時間: 5分
先日の「内的家族システム療法(IFS)について」の記事が、
とてもたくさんの方に読んでいただけたようで驚きました。
IFSがもつ力や魅力を、私自身もあらためて感じています。
そこで今回は、前回の理論編から一歩進んで、
より実践に近い部分――「内的対話」と「パーツ」について、
わかりやすくお伝えできればと思います。
🫧 はじめに
前回の記事では、IFSの前提として、
人の心の中にはたくさんの “パーツ” が存在し、どのパーツもその人を守ろうとする意図をもっている
ということをお伝えしました。
IFSは、どんな考えも感情も行動も「悪者」にせず、そのパーツが何を感じ、何を守ろうとしてきたのかを丁寧に理解していく心理療法です。
詳しくは前回の「IFS(内的家族システム療法)について」の記事をご覧ください。
今回は、実践編として
・IFSが言う“パーツ”とは何か
・“内的対話”はどのように行うものなのか
この2つを整理しながら進めていきます。
🫧 IFSにおける「パーツ」とは?
IFSでは、人の内側で働く「パーツ」を大きく3つに分類しています。
🛡️管理者(マネージャー)
“何かが起きる前” に先回りして守ろうとするパーツ。
過去の痛みを再び味わわないよう、段取りを整えたり、感情を抑えたり、頑張り続けたりします。
失敗しないように気を付けたり、感情に圧倒されないようにコントロールしたりするパーツです。
モットーは 「あんな思いは二度とごめんだ」
🔥消防士(ファイヤーファイター)
何かが起きた“あと” に最速で助けようとして出てくるパーツ。
強い不安や痛みを瞬時に消すため、衝動的な行動や感情を伴うこともあります。自傷行為、過食・ODなどの行動や解離などが代表例とされます。
モットーは 「いかなる代償を払っても痛みを消す」
💧エグザイル(Exile)
傷ついた幼いパーツ。
「恥」「恐怖」「無力感」「価値がない感覚」など、
かつて抱えてしまった痛みを静かに抱え続けている存在です。いわゆる「原体験」にあたるパーツです。
モットーは 「私を忘れないで」
管理者と消防士はまとめて「防衛パーツ」と呼ばれ、エグザイルを守るために頑張り続けています。
🫧 パーツには必ず“善意”がある
IFSがとても賢明で優しい理由はここにあります。
どのパーツも、「あなたを困らせたい」「苦しめたい」と動いているわけではありません。
ただ、“その時にできる最善の方法で、あなたを守ろうと必死だった”というだけなのです。
ここを理解できると、これまで「嫌だ」と思っていた反応にも、少しだけやさしさが向けられるようになります。
🫧「内的対話」と「インナーチャイルド」とIFS
「内的対話」や「インナーチャイルド」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
この2つの言葉はIFSの用語ではありませんが、IFSも似た概念をもっていますので、簡単にまとめます。
🤍内的対話
自分の心の中で、
「いま何を感じている?」「本当はどうしたい?」とそっと問いかけ、
返ってくる声を静かに受け取るやり取りのことです。
静かな自問自答とも言えますし、心の内側へ耳を澄ませる時間とも言えます。
🤍インナーチャイルド
心の中に残っている「幼い自分」「昔の自分」が抱えた気持ちを指し、
過去の痛みや願いが現在の反応に影響する部分を意味します。
IFSも似た概念を扱います。IFSでは「インナーチャイルド」は「パーツ」、
そして、内的対話にあたるプロセスを、
IFSは「インサイト」(insight)と呼びます。
🫧 インサイトとは?
IFSのセッションでは、
浮かんできたパーツと“今の自分”が関係性を作っていきます。
「今の自分が、パーツの話を静かに聴けている状態」これがインサイトです。
IFSのインサイトは、
パーツに入り込むものでもなく、無理にパーツを探しにいく作業でもありません。
ただ、その日に自然に浮かんできたパーツと対話します。
そして、パーツに気づいて声を聴く「今の自分」を、IFSではセルフと呼んでいます。
私なりに「セルフ」を説明すると、
「思いやり・好奇心・つながり」の気持ちをもっている状態です。
「思いやり・好奇心・つながり の気持ちをもってパーツに気づいていく」――
そんな静かなプロセスです。
このセルフの状態でパーツに気づいていくことが、IFSにおける「インサイト」の中心になります。
IFSでは、少しずつ、ご自身のペースでインサイトを行えるようになることを大切にしています。
🫧無理なく自分でできるところ
IFSの様々な魅力の中で、私がもっとも大切だと思うポイントは
「パーツには善意がある」
というところだと思っています。
これは、ご自分が嫌だと思っていたり、体質だと思っている反応にこそ、そっと向けてみて欲しい関心です。
そしてこれは、ご自身でも少しずつ取り組むことができます。
🫧大切なところ
ご自身がパーツの声を聞こうとするとき、大切なポイントがあります。
1つは最初に触れたように、探したり入り込んだりするものではないということ。
自然に気になった反応や思いに関心を向けてみてください。
2つ目は、内側の声に向き合うとき、
「どうしてそんなことするの?」「何が意図なの?」と責めるように問い詰める聞き方をしていないか、
そこだけ気にしてあげてください。
問い詰めるように接しられたら、委縮してしまいますものね。
代わりに、
「もしかしたら、私を助けようとしてくれているのかもしれない」
と、そっと信じてみてください。
この「信じてみる」ということも、インサイトが可能になる大切なプロセスだと感じています。
🫧終わりに
もし、「そんなの信じられない」「善意があるなんて思えない」という声が聞こえたら、ぜひ、そのご自身の思いも歓迎してください。
それもまた、ご自身の大切なパーツの1つです。
以上、今回は「内的対話」「インサイト」「パーツ」の基本を、まとめてみました。
次回は、
これらのパーツが実際のカウンセリングでどのように現れ、どう扱っていくのかもう少し深くご紹介できればと思います🫧
日に日に陽が短くなり、冬の訪れを感じますね。
今日もお体に優しくお過ごしください☕🍂

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