【第2回】負の感情の強さと「正体がわからない」しんどさ
- clinical-psycholog2
- 10月8日
- 読了時間: 3分
更新日:10月14日
誰かの不機嫌さや怒りにふれると、心がざわついたり、緊張したりしてしまうことってありますよね。
自分自身がちょっとイライラしているときでも居心地は悪いものですから、他人の怒りや不機嫌さを受け取ると、その影響はなおさら大きくなります。
他人の「不機嫌さ」が与えるストレス
「不機嫌」「怒り」「暴力」などの“攻撃的な感情”は、軽いイライラから激しい怒りまで幅がありますが、どれも心地のよいものではありません。
しかも、それが他人から放たれるものであれば、自分ではコントロールできないため、より強いストレスとして受け止めてしまう傾向があります。
負の感情の強さ
「不安」や「ゆううつ」などの静かなネガティブ感情でさえ、自分で抱えるのはつらいものですよね。
他人が落ち込んでいると、自分もなんとなく気分が沈んでしまう……そんな経験は多くの人にあるのではないでしょうか。
感情には、まるで空気のように伝わっていく性質があります。
なかでも「怒り」や「不機嫌さ」のような攻撃的な感情は、強いエネルギーを持ち、人の心にグッと入り込んできます。
無視や皮肉といった陰湿なものから、怒鳴るようなあからさまなものまで、その形はさまざまですが、いずれも周囲に深い影響を与えます。
ですから、「他人の不機嫌さを不快に感じる」のは当たり前のことなんです。
これは、個人の強さや弱さとは関係ありません。
「正体がわからない」ことのしんどさ
ネガティブな感情は、自分自身のものであれば「なぜそう感じているのか」を少しずつ整理することで、気持ちが落ち着いていくことがあります。
けれど、他人の感情はそうはいきません。原因や中身はわからないし、そもそもその本人自身が、自分の不機嫌さの理由に気づいていないこともよくあります。
つまり、受け取る側には「正体のわからないモヤモヤ」として伝わってくるんです。
この「よくわからない感じ」こそ、私たちの心を混乱させ、強いストレスとなってしまう大きな要因です。
もしこれが、子どもの頃からずっと身近にあったとしたら——。
自分の中に湧き上がるモヤモヤが、実は他人の感情によるものだと気づかず、「私が悪いのかな」と自分に原因を求めるようになってしまうこともあります。
そして、「なんとかしなきゃ」と機嫌を取ることが、知らず知らずのうちに習慣になっていくのです。
🌿大切なところ
・他人の怒りや不機嫌さは、自分ではコントロールできない分、強いストレスになりやすい
・攻撃的な感情は空気のように伝わり、周囲に強く影響する
・「正体がわからないモヤモヤ」が、しんどさを増している
・子どもの頃から続いていると、自分を責めたり機嫌を取ったりするクセにつながりやすい
このように、感情の“強さ”や“見えなさ”に目を向けると、自分の反応にも納得感が出てくることがあるのではないかと思います。
次回は、このような反応がなぜ起こるのか、その背景にある「自他境界」と幼少期の経験について見ていきます。

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