IFS実践編② ~傷つかないように先回りする「管理者パーツ」~
- clinical-psycholog2
- 2025年12月13日
- 読了時間: 8分
こんにちは。
冬らしい寒さが続いていますね。
今日は「IFS(内的家族システム療法)実践編②」ということで、さらにIFSを深めていけたらと思います。
2回目の『実践編;「内的対話」と「パーツ」』では、IFSの全体像をご紹介いたしました。
今回は、IFSの中でも「一番自分だと思い込みやすいパーツ」である管理者パーツについて扱います。
ここを理解できると、「どうしてこんなに自分を責めてしまうのか」が少し見えやすくなります。
そのために、「管理者パーツ」の中でも「自己批判パーツ」に注目して整理していきます。
🫧「パーツ」と「今の私」と関係性を結ぶ
これまでの記事で、
IFSは「今の自分とそれぞれのパーツとの関係性を結ぶ」ことで、
引き離されているご自身の反応と協力できるようになり、本来のご自身エネルギーが戻り、トラウマが癒えるという心理療法です。
そのために、まず、ご自身がご自身の「パーツ」に気づくことが何よりも重要なポイントになります。
そこで、前回、「防衛パーツ」として「管理者」と「消防士」、
痛みを抱えたままのパーツを「エグザイル」ということをご紹介いたしました。
今日は、この大きく3つに分けられるパーツのうち、
「管理者パーツ」を取り上げます。
🫧「管理者パーツ」;傷つく前に守ろうとする先回りパーツ
「管理者パーツ」は、パーツの中でも最も日々活躍してくれていることが多いパーツです。
「何かが起きる前」に未然に危機を防ごうと働いています。
ただ、「何かが起きる前」といっても
「起きた後にもっと傷つかないように」「もっとひどい目に遭わないように」という働きも含むので、
本当にいつも気を抜くことなく働き続けてくれていることがほとんどです。
例えば―
何か失敗をしたとき、自分を責める声がすぐ出てくる―
苦しくなったとき「じゃあどうしたらいいの?」と解決策を探し続け「結局、私がダメだんだ」と出口が見えなくなってしまう―
「もっと頑張らなきゃ」と自分に鞭を打つ―
あるいは―
感情を抑える管理者も代表的です。
「泣いても意味がない」
「冷静でいなきゃ」
つらくても淡々としている、感情を出すと危険だった過去から身についた守りのパーツであったり・・・
これらは、ご自身の中に馴染んでいると思います。
そのため、「そういうものだ」と思っていることもあるかと思います。
ただ、そういった「なじみのある思考や感覚、行動」こそ、「パーツ」として捉えてみたいと思います。
そして、こうした反応に気づくのは“セルフ”と呼ばれる、穏やかで開かれた部分の働きです。
(「セルフ」については詳しくは後半で触れますが、まずは「落ち着いて気づけている自分」と捉えてみてください。)
🫧「自己批判」パーツ
管理者パーツの中にはいくつか役割の異なるパーツたちがいて、その代表格が「自己批判パーツ」です。
管理者パーツ=自己批判パーツというわけではなく、
「管理者パーツ」の一部に
“自分を責めることで守ろうとする部分”がある、
ということになります。
「自己批判パーツ」は、「管理者パーツ」で代表的なパーツになるので、
「パーツに気づく」ことをわかりやすくするために、さまざまな管理者パーツの中で「自己批判パーツ」という1つを取り上げます。
🫧「自分を批判する」「責める」「労えない」
「自分を責める反応」と聞くと、みなさまも思い当たるものがあるかと思います。
ただ、この「自己批判パーツ」は、私たちが自覚している以上に、さまざまな形で現れます。
いわゆる「自分を責める言葉」だけでなく、考え方や行動のクセとして働いていることも多いのです。
そのため、「自己批判パーツ」は少し丁寧に、細かく理解していく必要のあるパーツになります。
こうした「自己批判パーツ」が強く働く背景には、
幼少期や成長過程で
“感情をそのまま表現することが難しかった経験”がある場合が多いと言われています。
感情を抑えることに加えて
「どうしたら怖い目に遭わないのか」と“考える”ことがセットになり、
「自分が悪いのだ。自分はどうしたら怖い目に遭わないのか考えて行動しないと」
この「自分を“直そうとする”ことでその場を保ってきた」というパターンが自然と身につくことがあります。
これは「まさに自分そのもの」と感じられる傾向があり、「パーツ」だとは気づかないくらい発展していることがあります。
🫧「自己批判パーツ」のバリエーション
例えば
「どうしてこんなに気にしちゃうんだろう…」
「なんで嫌なことばかり考えちゃうんだろう…」
こういった代表的なものから
「自分を癒したり労ったりしないようにする」
「自分を認めることに強い抵抗を感じる」
というものもあります。
「自分を労う」「自分を癒そう」とすることは、自己批判ではなくなってしまいます。
そのため、「自分に思いやりをもってみる」という行為は、「自己批判パーツ」にしてみれば「危険なことをする」「そんなことしたら居場所がなくなる」と思うのですよね。
その結果、
「人が同じ状況だったら優しい気持ちになるのに、自分に対しては全然労えない」
「癒そうとすると、そんなことしても何も解決しないと思う」など、
「反発」として「自己批判パーツ」が反応し、「自分への優しさ」を深めないようにして、ご本人を守ろうとします。
🫧「自己批判パーツ」の役割
「自己批判パーツ」は、その名の通り「自分を責めることで生き延びようとする」のです。
ということは、「自分に優しい気持ちを向ける」「自分を労わる」ことは「自己批判パーツ」にとっては危機を連れてきてしまう行為なのですよね。
そのため、ご自身に柔らかい気持ちを向けようとすると
「でも自分が悪い」「じゃあ、どうしたらいいんだろう?」と、
すぐに現れて、ご自身を「自己批判」という形で守ろうとします。
ここまでで大切なのは、自己批判は「性格」ではなく「守りの役割」だという点です。
🫧ただ「気づく」
何度も繰り返したいことは、こういった反応が「悪い」「変えた方がいい」ということでは決してないということです。
ただ、「自己批判パーツ」の主であるご自身が、その反応と働きにちゃんと気づいてあげる―
例えば
「自分そのものと思うくらい、いつも一緒に「自己批判パーツ」といるな」「いつも傍にいてくれたんだな」-
こういったように、ただ気づき、もしできれば一緒にいる感じをひと時でも持てたら充分です。
この過程がとても大切だとIFSでは強調しています。
🫧「パーツ」の意図
IFSでは、こうした“責める声”や“焦る声”を「管理者パーツ」と呼びます。
痛みや混乱が大きくならないように、先回りして私を守ろうとする働き者の部分です。
この声を「悪いもの」と見なすのではなく、
「あ、今、管理者パーツが頑張ってるな」と気づくと、心に少しスペースができます。
そうすると、自分の内側で何が起きているのか分かる
「自分=その声」ではなくなることで、強烈さが緩和されます。
その瞬間だけでも、呼吸がしやすくなる
責める声に巻き込まれにくくなり、同時に「こうやってずっと頑張ってきたんだな」という今までご自身の歩みに対しての理解も深まります。
これが“気づくことの効力”になります。
🫧ご自身の内側への態度の変容
IFSでは、外側に対しての変化ではなく、
「ご自身がご自身の内側に対しての態度が変わる」ことを目指します。
管理者パーツが働いていることに気づくだけで、
その瞬間、あなたの内側に少しのゆとりが生まれます。
そしてそのゆとりが、
「本当は何に困っていたのか」
「どんな気持ちが奥にあったのか」
を感じられるための小さな入口になります。
気づくことは、小さく見えて大きな変化です。
🫧「セルフ」とは
「今の私とパーツとの関係性を構築する」というときの「今の私」を
IFSは「セルフ」というとご紹介しました。
その「セルフ」は、私なりに説明すると
「思いやり・好奇心・繋がり」を持った状態でご自身に気づくこと、
とご説明しました。
もう1つ、大切なポイントがあります。
それはセルフは「目論見を持たない」ということです。
「こうすべき」「どうしたらいいのか」といった「意図」を持たない状態が「セルフ」になります。
これは、パーツに気づくときにも役に立つポイントです。
「こうしなくては」等の目論見を持たずに、ただ、好奇心と思いやりと繋がろうという気持ちでパーツに気づいていく―
そうすると、パーツは安心することができ、もっとやりたいことができるようになると言われています。
いなくならなくていい
そして今、「それで結局どうしたらいいの?」「でも自分がおかしいんだと思う」と感じているとしたら、
それもまさに、これまで何十年も休まずにあなたを守ってきたパーツが働いている証拠です。
「当然だよね。そうやって自分で考えてその場をなんとかやり抜いてきたんだもんね」と、
声をかけてあげられたらと思います。
このように、今後、IFSについては、より詳しく1つ1つのテーマを丁寧にお伝えしていこうと思っています。
次回は、『IFSの実践編③「二極化」について』、ブログでご紹介しながら理解していきたいと思っています。
すっかり冬になり、あっという間に12月ですね。この時期が苦手な方もいらっしゃることと思います。どうか温かくして、心身に優しくお過ごしください☕🧣


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